フリートーク

“本物の味”にこだわる人こだわらない人

「情熱大陸」で昨年の今頃放送された鰻職人・緒方弘さんの回の再放送をたまたま見ました。

職人のこだわり

緒方さんは福岡・小倉にある「田舎庵」といううなぎ屋の三代目だそうですが、もともと料理経験があったわけではなく、大学卒業後は一般企業に就職して海外勤務をしていたとか。

つまり鰻に関しては素人同然の状態で店を継いだわけで、ご自身でも「かなり勉強した」とおっしゃっていましたね。
独学で “鰻の神様”と呼ばれるまでになるなんて、ほんとにすごい努力をされたんだなぁと思います。

「料理は科学だ」と言って独特の焼き方を紹介していましたが、緒方さんの言葉で印象的だったのが、
「昔の鰻はもっと美味しかった。最近の鰻はまずい」という言葉。
昔の鰻というのは言うまでもなく「天然もの」のことを指しています。

近年、市場に出回っている鰻のほとんど(99%以上)が養殖だそうです。
天然の鰻なら成長するまで3年ぐらいかかるところを、現在の養殖では稚魚から半年ぐらいで出荷できるようにエサを工夫しているんだそうですね。

うなぎを早く太らせるために、魚から取った油をエサに混ぜるんだとか。
そういうことでもしないと供給が追いつかない状態っていうことですよね。

“昔の味”を知る緒方さんとしては、養殖であっても天然に近い環境でもっと美味しい鰻を作れないものかと業者さんに言うのですが、相手は相手で、昔の天然鰻の味にこだわるより今の人が美味しいと感じる鰻にしていくべき、みたいな話をしていて、方向性にズレがありました。

鰻本来の美味しさを知っているだけに妥協したくない料理人と、時代の変化に応じ、その中でより良い鰻を安定的に供給したいと考える養殖業者の意識の違いですね。

美食への憧れもほどほどに

僕自身は天然の鰻なんて高級なものは食べたことがないし、おそらく今後も食べる機会はないと思いますがw、スーパーで売っているウナギの蒲焼が美味しくない感じはわかります。
“本物の味”を知ってしまったら最後、中国産の安い蒲焼なんて見向きもしなくなるんでしょうね。

旅行先でたまたま入った居酒屋さんで注文したマグロのお刺身が異常に旨くて、ふだん地元のスーパーで買うマグロのまずさ、味気なさに気づいてしまう—みたいな経験なら僕にもあります。笑

元々がそんなに「美味しいものを食べたい」という欲求が強い方ではないので助かっていますが 笑、食へのこだわりが強い人は大変でしょうね、周りの家族なんかも含めて。

緒方さんのお店に全国から集まるお客さんは、「本物の味」を知ってしまったが故に人生の楽しみの一つとして遠路わざわざ足を運ぶのだろうし、その期待に応えるべく日々精進する職人さんの心意気も素晴らしいものだと思います。

ただ僕は、美食への憧れが強すぎるのもどうかと思っていて、ほどほどに、たま〜に美味しい食事にありつけたらラッキーぐらいの感じですね。(貧乏人丸出し)

それはそれで、人生の楽しみを一つ諦めちゃってるかわいそうなやつ、とも言えますが。苦笑

桜島が噴火?

お気をつけて!

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