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ミセスグリーンアップル アルバム「10」徹底ガイド|発売順・特典・曲数・DVD盤の違いを完全比較

2025年7月、ミセスグリーンアップルが10周年を記念してリリースしたアルバム『10』は、単なる“ベストアルバム”という枠に収まりきらない濃密な作品だった。19曲の収録曲と、配信限定のボーナストラック。DVDやBlu-rayを含む複数の形態。グッズ付きの豪華BOXセット。そしてなにより、曲の一つひとつに宿った“リスナーとの10年”の記憶。

「私たちは、この10年で、何を聞いてきたんだろう?」
「この10年で、何に泣いて、何に救われてきたんだろう?」

その問いに対する一つの“答え”のようなものが、このアルバムには込められている。

この記事では、「ミセスグリーンアップル アルバム 10」「違い」「特典」「DVD」「曲数」などの検索ニーズに応えながら、価格・収録曲・形態の違いをわかりやすく整理しつつ、音楽ライターとしての視点で『10』という作品の意味も丁寧に読み解いていきたい。

それは、ただの比較記事ではなく、「ミセスという音楽に育てられた自分」を振り返るための、“心のプレイリスト”のような記事になるはずだ。

目 次
  1. ミセスグリーンアップルのアルバム発売順を整理する
  2. アルバム『10』の基本情報まとめ
  3. 『10』の形態別違いを徹底比較
  4. 特典と封入コード(SPECIAL CODE)の全貌
  5. 『5』と『10』の違いとは?──“節目のアルバム”を比較する
  6. ミセスグリーンアップルらしさが詰まった収録曲たち
  7. 値段で迷っている人へ:おすすめの購入形態とは
  8. まとめ:『10』は“未来に残す記録”か、“今を祝う作品”か

ミセスグリーンアップルのアルバム発売順を整理する

デビューから『5』までの軌跡

2013年、東京・町田で結成されたミセスグリーンアップルは、2015年にメジャーデビューを果たす。初期の作品群――たとえばミニアルバム『Progressive』『Introduction』、そして初のフルアルバム『TWELVE』では、10代の葛藤や希望を真空パックしたようなエネルギーに満ちていた。

彼らの楽曲は、どこか懐かしくて、でも新しい。ロックやポップスの枠を軽やかに飛び越えながら、「バンドって、こんなにも自由でいいんだ」とリスナーに教えてくれた。2017年の『ENSEMBLE』や2018年の『Attitude』に至るまで、バンドは驚くほどのスピードで進化していく。

そして2020年、『5』のリリースをもって“フェーズ1”を終了。活動休止を発表する。この『5』は、まさに前半戦の総決算。新曲5曲+ベスト盤という構成は、まさに「区切り」のアルバムだった。

「フェーズ2」以降の作品群とその変化

2022年、活動再開。フェーズ2の幕開けを告げたのが『Unity』『Blue Diary』『ニュー・マイ・ノーマル』といった作品群だ。そこには、これまでの“疾走する青春”とは異なる、より内省的で、社会や人間関係に目を向けた視点が宿っていた。

例えば「Soranji」は戦争を、「私は最強」は自己肯定感をテーマにしながら、決して説教臭くならず、ポップスとして昇華されている。その変化は、単なる“音楽性の進化”というより、10年という歳月がもたらした“成熟”だった。

最新作『10』はどこに位置づけられるのか

そうしたキャリアを経て、2025年に発表された『10』は、過去と現在をつなぐ“橋”のような作品だ。『5』が「前半の答え合わせ」だったとすれば、『10』は「これからも一緒に生きていくための地図」とでも言えるだろう。

選ばれた楽曲はすべてPhase 2以降のものだが、その中に「StaRt」や「リスキーゲーム」など、初期曲のライブ映像(Studio Session Live)も特典として収録されているのが象徴的だ。「今の自分たちが、あの頃の歌をどう歌うか」。それを見せることで、10年間の軌跡を“未来”にまでつなげている。

『10』は、ミセスグリーンアップルというバンドの10周年記念ベストアルバムであると同時に、リスナーひとりひとりの「10年分の感情」とリンクする、きわめて私的なアルバムでもある。今という時代に、この作品がどう響くのか――その答えを探す旅は、まだ始まったばかりだ。

アルバム『10』の基本情報まとめ

発売日・レーベル・収録曲数

アルバム『10』は、2025年7月8日(火)にリリースされた。ユニバーサルミュージックからの全国流通で、CDはもちろん、Blu‑ray・DVDを含む複数形態での発売。さらに、配信は1日前倒しの7月7日よりスタートしている。

収録されているのは全19曲。さらに、配信版のみのボーナストラックとして「道徳と皿 〜2025 ver.〜」が追加されており、実質20曲という構成だ。

全体として、これは“Phase 2の総まとめ”であり、同時に「これからも変わり続ける」というバンドの意思表明でもある。かつて『TWELVE』で“始まり”を告げたバンドが、10年後に『10』というタイトルで“現在地”を示した。そのストレートさにも、ミセスらしいユーモアと決意がにじむ。

収録楽曲リストと注目曲の読み解き

以下が、『10』のCDに収録された19曲である:

  • ニュー・マイ・ノーマル
  • ダンスホール
  • Soranji
  • 私は最強
  • ケセラセラ
  • Magic
  • ANTENNA
  • ナハトムジーク
  • ライラック
  • Dear
  • コロンブス
  • アポロドロス
  • familie
  • ビターバカンス
  • ダーリン
  • クスシキ
  • 天国
  • breakfast
  • 慶びの種

このラインナップを見て、驚かされるのは、いわゆる“初期の代表曲”が一切含まれていないこと。これは意図的な選曲であり、「今の自分たちで、この10年を語り直す」という強いメッセージでもある。

たとえば「Soranji」や「私は最強」は、社会の中で生きる人間の痛みや弱さを繊細にすくい上げた楽曲であり、それを“祝祭”の空気と共に収める姿勢が、今のミセスらしい。「ダンスホール」や「ケセラセラ」のように、ポップでキャッチーなナンバーもありながら、全体としては非常に深く、そして内省的なアルバムとなっている。

配信限定ボーナストラックの意味

ボーナストラックの「道徳と皿 〜2025 ver.〜」は、ファンにとって特別な意味を持つ。原曲はかつてライブ限定で披露されたこともあり、コアなファンの間では“幻の1曲”とされてきた。

その再録版を、あえてCDには収めず配信限定にしたという事実。そこには、「記録」として残すCDと、「体験」として拡張し続けるデジタルという、2つのフォーマットの共存を体現しているように思える。

音楽を“パッケージ”で残すことと、“ネットワーク”で届けること。その両方を大切にしてきたミセスらしいアプローチだ。

『10』の形態別違いを徹底比較

通常盤・初回限定盤・COMPLETE BOXの違い

ミセスグリーンアップルの『10』は、まるで“選べる記念碑”のように、いくつかの形態でリリースされている。ざっくり整理すると、以下の通りだ:

  • 通常盤(CD):CD1枚(19曲)+歌詞ブック付き。もっともシンプルで価格も3,300円と手頃。
  • 初回限定盤(CD+Blu-rayまたはDVD):CD+特典映像ディスク。4,000円台。
  • COMPLETE BOX(CD+Blu-ray+グッズ):全ての特典が詰め込まれた豪華版。22,000円。
  • MAGICAL PRICE盤:歌詞ブックなし・パッケージ簡略化・QRコードDLのみ。1,980円。

これほどバリエーションを揃えているのは、リスナーの「それぞれの距離感」に寄り添うためだろう。コレクターとして全てを手元に置きたい人、配信派だけど1枚は残したい人、学生で金銭的に余裕はないけれど応援したい人。
どんなリスナーも、ちゃんと“お客さん”として迎え入れる構えがある。

DVD/Blu-ray盤にしかない特典とは?

特典映像は『Studio Session Live #4』と呼ばれる貴重なスタジオライブ映像。ここでは、「StaRt」「リスキーゲーム」「パブリック」など、初期の代表曲が、今のフェーズ2の編成と音で再演されている。

これは、単なる“ノスタルジー”ではない。過去の自分と今の自分が、同じ空間に立っているような不思議な時間の重なり。その姿を見せることで、「ミセスグリーンアップルという物語は、まだ続いている」と静かに伝えている。

また、『10周年記念メンバー座談会』の映像も収録。仲間として、音楽家として、人生の伴走者として――10年を共に走ってきた彼らの言葉は、単なる“舞台裏”ではなく、一つの“ドキュメンタリー”になっている。

MAGICAL PRICE盤って何?誰向けなのか

1,980円という“異例の価格”で発売されたMAGICAL PRICE盤。これはまさに「音楽をまだCDで買ったことがない世代」に向けた、“入り口としての一枚”だ。

歌詞カードもなく、ジャケットも簡素。でもそこには、QRコードが印字されていて、そこからスマホで手軽にアクセスできるようになっている。あえてSPECIAL CODEの応募対象外にしているのも、「無理に“ファンビジネス”に巻き込まなくてもいいよ」という優しさのようにすら感じる。

CD世代とストリーミング世代、どちらの価値観も否定せずに橋渡しする。それが、今のミセスの音楽のあり方であり、ファンとの距離感なのだ。

特典と封入コード(SPECIAL CODE)の全貌

シリアルコードの内容と応募キャンペーン

『10』には、一部形態を除き、「SPECIAL CODE」と呼ばれるシリアル番号が封入されている。このコードは、いわば“購入後のもう一つの物語”を開く鍵だ。

応募できるのは、次のふたつの賞品:

  • A賞:直筆サイン入りゴールドディスク(100名)
  • B賞:アナザーCDジャケット(1,000名)※サインデータ入り

抽選ではあるが、単なる“物欲”以上の意味を持つ賞品である。A賞のゴールドディスクは、実際にスタジオで使用された“レコード風記念アイテム”であり、ミセスの10周年を象徴する“作品の断片”そのもの。
一方、アナザーCDジャケットも、「もう一つの表紙」として、コレクション性の高いアイテムだ。

応募受付期間は2025年7月7日〜7月27日までの約3週間。リリース直後の熱量をそのまま形にできる、絶妙なスケジューリングでもある。

※応募の受付は終了しています。

プレゼント賞品の魅力と抽選倍率の予想

仮に累計出荷10万枚と想定しても、当選倍率はA賞で1/1,000、B賞で1/100。決して“夢のまた夢”というほどではないが、確実でもない。この“絶妙な手の届きにくさ”が、逆にプレミアム感を生んでいる。

とはいえ、応募の本質は「当たるかどうか」ではない。推しの周年を、何らかの形で“自分の歴史に重ねたい”という気持ちが動機となっている。その意味では、コードを入力する行為自体が、すでに“ファンとアーティストの新しい関係性”の一部になっているのだ。

コード未封入の注意点と落とし穴

注意が必要なのは、すべての形態にこのSPECIAL CODEが入っているわけではないということ。たとえば、最安値で話題のMAGICAL PRICE盤には封入されていない。価格を抑えたぶん、キャンペーン対象外になっているのだ。

つまり、「コード付きが欲しいなら、最低でも通常盤以上を買うべき」ということになる。中古で手に入れる場合も、未使用コードが残っているかどうかは要確認だ。

また、公式ショップ以外で購入した場合、初回プレスでない可能性もあるので、予約や購入時に「初回特典付き」「コード封入」などの記載があるか、しっかりチェックしておく必要がある。

このあたりの“線引き”も、ミセスのバランス感覚がよく出ている。特典を欲しい人には用意しつつ、あくまで音楽をメインに据えて「買わなくても、聞ける」という間口を残す。
誰かを置いてけぼりにしない姿勢が、10年続いてきた理由の一つかもしれない。



『5』と『10』の違いとは?──“節目のアルバム”を比較する

選曲の基準と曲順構成の違い

『5』と『10』、その数字はともに“周年”を象徴するが、アルバムとしての性質はまったく異なる。
『5』は“前半戦の締めくくり”として、初期の代表曲を中心に構成されていた。たとえば「僕のこと」「青と夏」「Speaking」「インフェルノ」といったメジャーヒットが並び、まさに「これがミセスだ」と提示する“名刺代わり”のようなベスト盤だった。

対して『10』では、収録曲のすべてがフェーズ2以降の楽曲。つまり、過去を総ざらいするのではなく、「今の自分たちだけで勝負する」という姿勢が前面に出ている。初期曲は映像特典のライブ演奏でフォローされるにとどまり、CDとしては収録されていない。

この選曲方針は、バンドの意志の表明であると同時に、リスナーにとっても大きな問いを投げかけている。「あなたにとっての“ミセス”って、いつのミセス?」と。

初期ファンと新規リスナー、誰に響く構成か

『5』は、いわば「入り口」としてのアルバムだった。ライブで盛り上がる曲、音楽番組でよく流れていた曲、TikTokでバズった曲――誰もが“どこかで聴いたことのあるミセス”が詰め込まれていた。

一方で、『10』は「出口のない共感」のためのアルバムだ。具体的な情景よりも感情のグラデーションを描き、ポジティブでもネガティブでもない、曖昧な“今”を切り取るような曲が多い。

だからこそ、『5』は「これからファンになる人」に向けた挨拶状であり、『10』は「すでに一緒に10年歩んできた人」に向けた手紙のようなアルバムだと言える。

“祝祭感”と“物語性”の違い

『5』は、“祝う”ためのアルバムだった。活動休止という大きな節目を前に、明るく、力強く、そして誠実に「ありがとう」を伝える構成になっていた。

それに対して『10』は、“語る”ためのアルバムである。フェーズ2の歌詞に一貫しているのは、“問い”の姿勢。
「本当に幸せって何?」
「信じるってどういうこと?」
「孤独と向き合うって、どんなこと?」

ミセスは『10』を通じて、「自分たちはどう生きてきたのか」を語ると同時に、「あなたはこの10年、どうでしたか?」と、静かにリスナーの心に語りかけている。

この違いは、単にアルバムの構成の違いではない。
“過去を祝うか”、“現在を共有するか”。
“完成形を見せるか”、“物語の途中を見せるか”。

『5』と『10』は、そんなふうにして、まったく別の角度から“節目”というテーマに向き合っているのだ。

ミセスグリーンアップルらしさが詰まった収録曲たち

「ダンスホール」から「Soranji」へ:時代を映すミラー

『10』の1曲目に収められた「ニュー・マイ・ノーマル」は、そのタイトル通り「これが今の僕たちです」と宣言するかのような一曲だ。そして続く「ダンスホール」は、2022年の夏に大きな話題を呼んだ、いわば“再始動の象徴”のような曲。

疾走感と多幸感をまといながら、「それでも心の奥に小さな影がある」ことを見落とさないこの楽曲は、フェーズ2以降のミセスの美学を最初に提示したナンバーと言える。派手だけど、ちゃんと繊細。明るいけど、ちゃんと痛い。

その対比として収録されているのが「Soranji」。戦争という重いテーマに向き合いながら、それでも「信じ合いたい」と願う気持ちを描いたこの曲は、ミセスが“社会”というものに向き合い始めたことを象徴している。

この2曲が同じアルバムに入っているという事実こそ、今のミセスの多面性を物語っている。

「私は最強」と「ケセラセラ」に宿るアンセム性

『10』は、どこか「自分を肯定する」というテーマが通底している。特に「私は最強」は、Aimerとのコラボでも知られる強烈なアンセムで、「自分を疑うことなく、自分でいられるか」という問いを突きつける。

対照的に「ケセラセラ」は、もっとふわっとした肯定感を描く。
「まぁ、なるようになるよね」
という、どこかユーモラスでいて、それでいて深い諦観がある。

このふたつの曲を聴き比べると、「自己肯定」という言葉の広さに気づかされる。
それは声を張ることだけではなく、静かにうなずくことでもあるのだ。

リスナーへの贈り物としての「Dear」

『10』の中でもひときわ私的で、ひときわ普遍的な1曲。それが「Dear」だ。
誰かに宛てた手紙のようで、でも読み進めると、それは“自分自身”への手紙にも感じられてくる。

語りかけるような歌い出し。少し息を詰めてから放たれるサビ。
この曲には、「あなたに出会えてよかった」という、音楽にしか言えない言葉が込められている。

リリース時、SNSでは「この曲に泣いた」「救われた」「生きててよかったと思えた」といった投稿が相次いだ。『10』の中で、いちばん“静かに響く”曲であることは間違いない。

バンドが歩んできた10年。その時間をリスナーがどう受け取ったか。
その答えが、「Dear」には滲んでいる。

値段で迷っている人へ:おすすめの購入形態とは

コスパで選ぶなら?

もし「まずは聴いてみたい」「手元に1枚あればいい」という方であれば、通常盤(税込3,300円)が最もバランスがいい。
歌詞ブックもついており、SPECIAL CODEも封入されているため、ミセスの10年に“きちんと触れる”には十分な内容だ。

配信派の人でも、「この作品だけは手元に残したい」と思えるアルバム。それが『10』であることは、間違いない。

“体験”を求めるなら?

ライブ映像や座談会、グッズにまでこだわりたいなら、初回限定盤(約4,000円台)またはCOMPLETE BOX(税込22,000円)が推奨される。

特にCOMPLETE BOXには、ゲームシャツ、フォトポスター、ミニライトスティックなど、ファン心をくすぐるアイテムが満載。これはもう「購入」というより“参加”に近い。
10周年を一緒に祝う気持ちを形にしたいなら、間違いなくこちらだ。

初回限定盤でも、特典映像(Studio Session Live #4)は収録されており、「StaRt」や「リスキーゲーム」など初期曲を今のミセスが再演する姿は、音楽的にも非常に価値が高い。

推し活やプレゼントに適した選び方

“推し活”や“プレゼント用途”で選ぶ場合も、それぞれの目的に応じておすすめは変わってくる。

  • 推しグッズと一緒に楽しみたい人 → COMPLETE BOX
  • ファン仲間と映像を観て語り合いたい人 → Blu‑rayまたはDVD付き初回限定盤
  • 中高生の友達にプレゼントしたい人 → MAGICAL PRICE盤(1,980円)

MAGICAL PRICE盤はSPECIAL CODEがついていないが、その分ライトに贈りやすく、ストリーミング慣れした世代にも“CD文化”をそっと手渡すことができる。

金額という“数字”だけで決めるのではなく、「この作品とどう関わりたいか」という気持ちで選ぶこと。それが、ミセスというバンドがくれた「選択肢の豊かさ」に、最も正しく応える方法かもしれない。



まとめ:『10』は“未来に残す記録”か、“今を祝う作品”か

ミセスグリーンアップルのアルバム『10』は、単なるベストアルバムでも、記念作品でもない。
それは、10年間という時間を“祝う”だけでなく、“重ねる”ための作品だ。

「この10年間、僕たちは一体何を聴いてきたんだろう?」
そう振り返りたくなる瞬間は、誰にでもある。そしてきっと、その問いの答えの一部は、この『10』の中にある。

音楽は記憶だ。あのときの帰り道、失恋した夜、友だちと笑った放課後、部屋でひとり泣いた朝。
ミセスの歌が、そんな日々とともにあった人にとって、このアルバムは“記録”であり、“証明”であり、そして“贈り物”でもある。

だけど、忘れてはいけないのは、これは“終わり”ではないということ。
『10』というタイトルは、ゴールではなく、むしろ「ここからまた始める」という意思に満ちている。

未来はまだ見えない。でも、10年を歩んできた足取りがあるから、きっとどこへでも行ける。
このアルバムは、そのための地図であり、リスナーへの手紙であり、アーティスト自身へのエールでもある。

『10』を聴いて涙を流した人がいたとしたら、それは悲しいからじゃない。
“時間”というものが、ちゃんと自分のものだったと気づいたとき、人は自然と涙をこぼすものだから。

ミセスグリーンアップルは、音楽を通じて10年の時間を贈ってくれた。
その贈り物を、あなたはどんなふうに受け取りますか?

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